私は社会に出てから人間関係を上手に築けず、周りとうまくいかず苦労した。
そこには「大人なんて信用できない!」と子供の頃に植え付けられた思いがあった。人は信用できない。
そして自信のなさもあった。「自分は駄目だ」といつも思っていた。
調べていくと、どうやら「愛着障害」というものだったらしい
愛着障害とは何か
愛着障害とは、親など関わりの深い人との愛着が安定して形成されていないことによって、情緒や対人関係に問題が生じる状況のことで、社会適応に支障をきたす障害。愛着は生後6か月から3歳までに形成されていく。赤ちゃんが泣いたら母親が抱っこをしたり身の回りの世話をすることで赤ちゃんが安心する。その安心感を得ながら自らの興味・関心の幅を広げ、認知や情緒を発達させていく。
「三つ子の魂百まで」という言葉は私は好きではなかったが、やはりそういうことらしい。
私の場合は、生まれてすぐネグレクトにあい、1歳の時に里子に出されている。そして1歳半の頃に親元に戻されたとのことだが母親はうまく育児ができずにいたと聞く。私の場合は幼少期から中学卒業までの虐待も影響していると思うが、愛着がどれほど大切かということを大人になってから知ることとなる。
愛着が大切な理由
親など関わりの深い人との間に愛着が形成されると、子どもは甘えるようになる。養育者に甘えてそれを受け入れてもらうというやり取りを繰り返すことで人への信頼感が芽生えていき、人と話したり遊んだりすることの楽しさや喜びが身についていく。
そして、子どもは自分の要求を伝えたり、相手から要求されたことを受け入れるようになる。これを通して、自分の要求をどう伝えたら相手に伝わりやすいのかを学んでいく。こうした行動を繰り返すうちに、表現力やコミュニケーション能力が向上する
安全基地
子どもが外の世界に安心して飛び出して行くためには、親などの関わりの深い人が「安全基地」となることが重要。子どもが外の世界に飛び出していく際に不安や恐怖を感じるけれど、そんな時、何かあったら無条件に守ってくれる存在がいることで心理的な安心感を得て、積極性やストレス耐性を身に着けていくことができる
「安全基地」というものが私にはなかったのだと知る。学校でもイジメのようなものにはあってはいたが、家にいるより学校に行ったほうが安全であった。いや、どっちもどっちではあるが、少なくとも友人と遊んだり、一人で外を走り回っているほうが家よりも安全であったように思う。ただ、当時の親を責めるつもりもなく、結果として”こうであった”ということを今は淡々と受け入れている。
愛着パターン 4つに分類される
・安定型
親など関わりの深い人との接触によってストレスを解消し、気持ちを安定させることができる
自分を愛してくれる人を信頼し、気軽に助けを求めたり、相談することができる。人の反応を肯定的に捉え、相手がどう反応するかにあまり左右されない
・回避型
親などの関わりの深い人との関係が乏しく、外の世界へ飛び出す際も彼らを安全基地とはしない。成人してからも、親密さを回避し、距離をおいた対人関係を好む傾向がある。親しい関係や情緒的な共有は心地よいと感じない。相手を自分から避けたり、これ以上関わらないようにしてしまう。
・不安型
不安が強いことが特徴。特に「見捨てられる不安」がとても強い。すべての場面を通じて不安が強く、愛する人と一緒にいても情緒が安定しない。信頼関係のある人との接触でも、接触を求めながら激しく抵抗するという特徴。
常に周囲に気を使い、相手の反応をうかがって少しでも相手が拒絶的な反応を示すと、激しい不安に襲われてしまう。自己肯定感が低く、他者は自分を傷つけたり非難する存在として捉えている。
・混乱型(未解決型)
混乱型は、回避型と不安型が入り混じり不安定。一人は不安で人と仲良くしたいけど、親密になるとストレスに感じて傷ついてしまう。人に頼りたい気持ちも強いが、自分を表現することが苦手で頼ることができない
私は「混乱型(未解決型)」
自分でもよくわからない感情に支配され戸惑うことも多かった。アルコールにも逃げたし、自暴自棄になった時期も長い。ただ、そこから抜け出したのには、やはり周りの人たちの支えのおかげであると感じている。
親からの愛情は与えてもらうことは出来なかったが、大人になってから出会った人たちに少しづつでも認められていくことで、「自分は価値のない人間である」という思いから「自分も生きてていいのだ」という思いへ変わっていった。それなりの努力はしたかもしれないが、紆余曲折あり正社員からフリーターになり様々な人に出会いラッキーなことに浮上することができた。それは周りのみんなのおかげ。私一人でどうにかなる問題ではなかった。
愛着障害は克服できるのか
愛着障害は回復可能であるだろうと私は思う。実際いまでも多少不安定になることはあるが、それでも昔よりは安定してきている。
・愛着障害であると自覚すること、回復は可能であると知ること
様々な文献から、自分は愛着障害であったと自覚をした。それを認めること、そして回復は可能であると知ることが大切だと感じた。
図書館で「愛着障害」や「インナーチャイルド」「児童養護施設で育った子供」そのほか精神疾患に関しての本なども幾つも読んだ。自分が過去に親からされていたことを思い出すのは辛いし、封印している記憶であるから”おぼろげ”なこともあるが、自分は親からの愛情を十分に与えられてこなかったということを自覚した。「インナーチャイルドを癒す」ということにもチャレンジをしたこともあった。瞑想など様々取り入れたりした時期もあった。
正解不正解は別として、様々試してみるのは良いことのように思う。ただ息苦しくなる、フラッシュバックが起きる、無気力になる、など症状が悪化するようであればお勧めは出来ない。無理に乗り越える必要もないと感じてもいる。現に私には乗り越えられない記憶がいくつもある。それを思い出すと頭が痺れ息ができなくなるから、その記憶には手を出さないでいる。本当は、その子も救ってあげられたらもう少し生きやすくなるのになあと思うが、無理はしないほうがいい。心のために。
・カウンセリングなど受けてみる
人に話すことで客観的な意見を聞けたり、自分の気持ちを整理することができる。誰にも言えないようなことを淡々と何度も話をしたことがあった。ただ、カウンセラーとて人間である。守秘義務等は守ってくれるので安心ではあるが、カウンセラーとの相性もあるので簡単ではない。しかし一度受けてみるのも良いのではないかと思う。私の場合は大人になってから3回ほど同じカウンセラーに話を聞いてもらい、なんか満足したのでやめた。聞いてもらうことでスッキリしたということと、自分と同じ経験をしているわけじゃないから わかってもらえなくて当然とも思った。客観的な意見はとても役に立った。ホームページなどでカウンセラーがどういう人かの情報を事前に調べた
ここからは自分の場合の克服方法である
・好きなことに没頭する/体を動かす
子供の頃から走るのが好きだったので、大人になってからもジョギングをしていた。走っていると無になれて気持ちもよかった。ゲームなどに没頭するのも何も考えず「今」に集中できるので良いと思う。嫌なことがあると10キロくらいジョギングをしていた。アルコールにはまっていた時期もあったがコンディションが悪くなるので走り始めてからは自ずと量も減っていった
・様々なコミュニティーに参加してみる
X(旧Twitter)や様々なサイト巡りをし、無料で開放しているZOOMコミュニティやディスコードなどを探した。
参加していた年齢は様々で悩みもそれぞれだったが、幅広い年代の人と知り合い話をするのが楽しかった。また、誰かの悩みを聞いて共感したり、アドバイスしたり、自分の悩みを聞いてもらったり、時にはそれぞれが得意なこと(料理や絵)を披露したり、語り合ったりと有意義な時間を過ごしたことがある。そこで自己肯定感が育まれ、少しずつ人を信頼するということもできるようになっていった。2年くらい参加した。
「こどもぴあ」という精神疾患の親をもつ子供の会に参加したことも大きかった。同じような悩みを持つ仲間との出会いが少しずつ私を変えていった。
・信頼できる人が一人でもいれば
愛着障害の克服に近づけたのは、パートナーの存在であった。
2022年4月に夫と出会い、同じ年の10月から交際を開始。夫には交際前から親のことや自分のことなど話をしていたが、否定することもなく、かといって肯定する感じでもなく、「ただ話を聞いてくれた」
交際を開始したときに、あらためて自分の生い立ちを夫に話し、私なんかやめたほうがいいと伝えた
夫は「話しづらいことを話してくれてありがとう。それ話すの勇気いたでしょ」と言った。
自分の話をして「大変だったね」と言われることはあったが「話してくれてありがとう」というのは初めてで驚いた。夫と付き合っていく中で、安心感を覚えていった。とても誠実であることもよかった。
そうして翌年4月、出会って一年で結婚をした。
結婚してからも私は時々不安定になっていたが、夫は何も言わずに側にいてくれた
私が怒っても、拗ねても、泣いても、いつも同じ態度で接してくれる夫
幾つもの試しの行動をしてしまった私だが、変わらない夫を前に、徐々に落ち着いていった
愛着障害の克服に大切なのは、自分が愛着障害であると知ることと、誰かに思いを語ること、そして信頼できる人が一人でもいれば、少しずつ克服できるのかもしれないと感じている。
それがパートナーである必要はない。友人でも、知人でも、ひとりでも信頼できる人がいればと思う
愛着の大切さを知って思うこと
現在妊娠6か月。2024年10月に第一子を出産予定である
愛着がいかに大切か。特に幼少期の触れ合いがどれだけ大きな影響を与えるか。
頑張って子育てをしなくちゃ、自分のような想いはさせたくない。と思っていたが、そうして自分自身にストレスがたまるのも良くない。夫からは産後鬱にならないか心配されている。
YouTubeで様々みているが、アタッチメントは大切にしながら、子供が一人でいる時間も大切にしていきたい。子供がかわいそうだからと何でもかんでも構いすぎるのもよくない。子供は構ってほしくなったら親元に来るとのこと。近すぎず遠すぎず適切な距離を保っていきたい。
家が子供にとっても、夫にとっても、私にとっても安心安全な場所であるようにと思う
引き続き、みんなが和らげる家を築いていきたい
おすすめ本
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